本記事では、GOODBRAINが取り扱っている脳波デバイス「FocusCalm™」と「Muse2」と、GoodBrainアプリとの相性を詳細にまとめました。
脳波デバイスでの脳波計測実験にはGoodBrainアプリがおすすめな理由
Muse2とFocusCalm™は、こちらの記事で主に「マインドフルネス」デバイスとしてご紹介してきました。ただ、両製品は脳波を測定可能な「脳波」デバイスであるため「マインドフルネス」以外の用途でも利用が可能です。
メーカー公式の専用アプリだと、脳波測定の結果をα波やβ波等の周波数帯で表示・取得することは出来ません(独自の指標によって表示されるのみ)。また測定結果のCSV取得もできません。実験等に利用する場合は、これらのデータ出力が必要となる場合が多いと考えられるため、GooBraindアプリのような、SDKを利用したサードパーティー製のアプリが必要となります。
GoodBrainアプリは、測定した脳波を周波数帯で表示し、csv取得することが可能であるため、実験用の脳波計測には特におすすめです。
以下ではハコスコ社が公開しているGOODBRAINアプリと、公式アプリとの相違点を比較表形式でご紹介します。
アプリ名 | (公式)FocusCalm™ | (公式)Muse2 | (ハコスコ社)GOODBRAIN | |
---|---|---|---|---|
利用するデバイス | FocusCalm™ | Muse2 | FocusCalm™ | Muse2 |
ガイドマインドフルネス機能 | 〇 | 〇 | × | × |
マインドフルネス以外の機能 | △(トラッカー機能) | × | 〇 | 〇 |
CSV出力 | × | × | 〇 | 〇 |
出力されるデータの違い | × | × | ・集中度、リラックス度(約1Hz)・周波数帯のバンドパワー(約5Hz) ・脳波の生データ(約250Hz) | ・周波数帯のバンドパワー(10Hz)・脳波の生データ(約50Hz) ・動きに関するデータ ・バッテリーに関するデータ ・脳波計のフィット具合 |
GOODBRAINアプリ(Muse2、FocusCalm™):
弊社ハコスコが開発しているGOODBRAINアプリを利用することで、FocusCalm™及びMuse2の各脳波を測定・取得し、CSV出力まで行うことが可能です。また、実験用UDP通信やグループ計測機能などもサポートしています。
詳細については以下の案内ページをご覧ください。
GOODBRAINアプリ:https://goodbrain.jp/app/
またGOODBRAINアプリとFocusCalm™を利用して、実験の様子をご紹介するウェビナーも毎月実施しています。気になる方はお気軽にご参加ください。
ウェビナーページ(Peatix):https://goodbrain.peatix.com
FocusCalm™のトラッカー機能(公式)
FocusCalm™公式アプリに備わっているマインドフルネス以外の脳波測定結果を表示する機能です。トラッカー機能はデータ出力は出来ませんが、様々な計測に活用が可能です。トラッカー機能はFocusCalm™公式アプリのProfileタブ「Tracker」のアイコンから開始することが出来ます(下記画像参照)。開始すると計測がすぐ始まります。以下の脳波グラフはこのトラッカー機能についての記事をタイピングしながら、脳波を計測した結果です。
最初40秒ほどリラックスをして、そこからこの記事の執筆をしてみました。リラックスすると数値が100に近くなり、作業をはじめると数値はどんどん下がっていきます。ただ、どうやら文章を書いているときの集中力はいまいちのようですね。計算問題を解いたりすると、より低い数値(0に近い数値)が出ます。このトラッカー機能を利用すれば、その他にも例えば、テレビを見たり、筋トレをしたり、人とディスカッションしているときの脳波などもグラフ化することが可能となります。FocusCalm™は脳へのフィット感も良いため、ある程度の時間を頭につけていても不快感は少ないです。
GoodBrainアプリと相性のいい脳波デバイスはどれ?
上記で紹介したGoodBrainアプリは、FocusCalm™とMuse2という二つの脳波デバイスを使用することが可能です。なので、どちらの脳波デバイスを使用すればいいか迷う方もいらっしゃると思いますが、GOODBRAINではFocusCalm™をおすすめしています。
その理由は下記の2つです。
- FocusCalm™の方が計測が安定している
- FocusCalm™の方が着け心地が良い
計測の安定性
Muse2はひたい部に5つ、両耳に1つずつEEGセンサーが配置されています。このうち、両耳のセンサーがグランド電極で、このグランド電極の安定性が脳波計測の安定性に関わってきます。しかし、Muse2の両耳のEEGセンサーはズレやすく、安定した計測を行うことができません。
それに対し、FocusCalm™はひたい部に3つのセンサーがあり、そのうち中央のセンサーがグランド電極です。FocusCalm™はひたいにグランド電極があるため、ずれにくく、安定した計測を行うことが可能です。
以下が、各デバイスのセンサー位置の画像です。
センサー位置の画像:
Muse2:
左:5つのEEGセンサー|中央:心拍|右:両耳EEGセンサー|本体内臓:Gyroscope
FocusCalm™ :ひたい部に3か所のEEGセンサー
着け心地
Muse2は前述の通り、耳にもEEGセンサーがあります。安定性向上の目的で、耳のEEGセンサーは皮膚に押し付けるような構造になっており、結果として耳の部分がきつく締められるような着け心地になってしまっています。なので、長時間の着用だと、耳のセンサーがずれるだけでなく、痛くなりやすいです。また、メガネをかけていると耳の裏が窮屈になってしまいます。
それに対しFocusCalm™は、長時間の着用でも問題ない仕様になっており、センサーがずれにくいため、着用しながらの運動も可能となっています。
製品の特徴比較:
FocusCalm™ | Muse2 | |
---|---|---|
メーカー名 | BrainCo Inc. | InteraXon Inc. |
メーカー国 | アメリカ | カナダ |
国内販売価格(デバイス本体) | 32,000円(税込) | 39,900円(税込) |
専用アプリ | iOSはこちらAndroidはこちら 月額1,050円 / 年額7,600円のサブスクリプション購入又は買い切りアカウントの購入(18,000円税込)※1 | iOSはこちらAndroidはこちら 基本無料※2 |
利用事例 | F1ドライバーやオリンピックチームなどアスリートのトレーニングで世界的に活用。MIT・NASAなどの出版物でも紹介。BrainCo™社はeスポーツの教育機関とも広く提携を行っている。詳細はこちら 国内の私大・国立大学にて十台~数十台規模にて導入(GOODBRAIN実績) | NASA、MIT、IBMなどの研究機関やメーカー、海外の大学等の実験に利用された実績あり。詳細はこちら |
販売開始年 | 2021年 | 2018年 |
付け心地 | 〇長時間の着用でも問題ない仕様、着用しながら動きやすい | △長時間の着用だと、耳のセンサーがずれたり、きつく締めると痛くなりやすい。眼鏡をかけていると耳の裏がやや窮屈。 |
スマートフォンとの接続方法 | Bluetooth接続(ワイヤレス)のみ | Bluetooth接続(ワイヤレス)のみ |
日本語対応 | 未対応 | 未対応 |
付属品 | 充電ケーブル(USB⇔Type-C)専用収納ケース補助バンド(長さをさらに調整したい際のゴムバンド) | 充電ケーブル(USB⇔microUSB) |
(別売)アクセサリ | なし | 専用収納ケース |
センサーとその位置 | EEGセンサー:ひたい部3か所(耳のセンサーはなし) | EEGセンサー:ひたい部(5か所)+両耳部PPG+パルスオキシメーター(心拍数測定):右ひたい部Gyroscope:内臓(PPGと組み合わせて呼吸マインドフルネス時に利用) |
※1:FocusCalmはアプリの全機能が有料のため、利用にあたってはいずれかの購入が必要
※2:必要であれば、有料のマインドフルネスガイダンスをアプリ内で購入することが可能。
まとめ
実験等の脳波計測は、周波数帯の表示・取得が可能なGoodBrainアプリがおすすめです。また、GoodBrainアプリと利用する脳波デバイスは、計測の安定性が高く、長時間着用時の着け心地が良いFocusCalmがおすすめです。
もしご興味のある方は、ページ下部の窓口からお気軽にお問合せください。
よくあるお問合せ(Q&A)
MuseSは取り扱っていないのですか?
Muse2の後継機であるMuseS(発売:2020年)についてお問い合わせをしばしば受けますが、MuseSについては日本国内での技適の取得が完了しておらず、弊社でも取扱いは行っておりません(日本国内未発売)。技適の取得については、現状メーカー検討中となるため、進展があった際は、弊社HP等にて取扱開始のアナウンスをする予定です。時期は2022年8月時点で未定となります。
どちらを購入すべきでしょうか?
こちらのお問い合わせもよく頂きます。弊社では実験用としての利用の場合はFocusCalmをご提案しております。理由としては上述の通り、センサーがひたい部のみに集まっているFocusCalmの方が、より安定したデータ測定が可能なためです。一方で「マインドフルネス」に日々取り組んでいきたい、といった一般向けの利用の場合はMuse2とFocusCalmいずれを選んで頂いても良いと思います。上述のアプリの違いなどをご参考にして下さい。
- 主な利用法が「マインドフルネス」の場合(例:マインドフルネス、動きの少ない実験・研究):
- FocusCalm又はMuse2
- マインドフルネス以外で脳波を測定したい場合(例:動きのある実験・研究、スポーツ等):
- FocusCalm
その他、両製品の導入を検討している大学・法人様で分からないことや質問したいことがあれば、お気軽に以下の窓口よりお問合せ下さい。担当よりご連絡させて頂きます。
ハコスコのブレインテック事業
株式会社ハコスコは、理化学研究所の理研ベンチャー制度により2014年7⽉に創業し、ブレインテック事業のGoodBrainと、VRゴーグル・配信・映像制作からなるVRソリューションを提供しています。ブレインテック事業のGoodBrainでは、2019年より「GoodBrain」アプリの提供、FocusCalm・Muse2・Next Mindなどのデバイス提供、またそれらを組み合わせた脳波計測・ニューロフィードバックのソリューション提供を行っています。ハコスコ社のブレインテック事業では、今後も企業とのコラボレーションやブレインテック・ソリューションの提供を通じ、脳科学の応用によるゆたかな社会の実現を目指しています。